会 員 の 広 場

<15> 菩提樹の町から(第5回)

2018年12月


寺 尾  恵 仁


 女性の社会進出という言葉は好きではない。仕事をしていよう

 がいなかろうが、収入があろうがなかろうが人間は等しく社会の

 一員であって、わざわざ進出したり、まして活躍させて頂かな

 ければならないようなものではない。

   それはともかく、ドイツは一般的に働く女性が多いと言われ

  る。世界経済フォーラムによる男女平等指数「国際ジェンダー

  ・ギャップ指数」では、2017年にドイツは144か国中12位とな

  っている。ちなみに日本は114位である。

    ドイツ社会では、実際に女性が責任ある役職についている

  のをしばしば見かける。第三次メルケル内閣では16人中7人が

  女性であり、身近なところではライプツィヒ大学学長もライプ

  ツィヒ市文化大臣もドイツ語学校InterDaFの校長も女性である。

  特に旧東ドイツ地域では、社会主義体制下で女性の就業が一般

  的であったために、現在でも人口別の保育園の割合や女性の

  就業率が高いとされている。

   でも、実際のところどうなんだろう。知り合いの俳優夫婦は、

  共に劇場で働いていたのだが、子供ができると女性が退職して

   兼業主婦になったらしい。劇場仕事が夜仕事の激務であるのは

  ともかくとして、やっぱりそこで仕事をやめるのは女性なのだ

  なあと思った。そんな訳で、例えば大学の演劇学科や演劇単科

  大学の学生は女性が多いのに、実際に劇場に雇用されている

  俳優は男性が多数派だったりする。だからまあ、別にドイツの

  女性差別がないという訳では全くない。

   とはいえ、日本での女性に対する社会的抑圧は相当なもの

  だと思う。だから海外留学すると、女性の方が自由を感じる事

  が多いとも聞く。と思っていたら、カナダ留学専門サイト

  FSS-OsakaのPV「カナダ留学に行くとなぜブスになるか」とい

  う映像を発見した。挑発的なタイトルだが、とても面白い。

  留学先では周りがみんなダサいから、自分もファッションを

  気にしなくなる…という内容だが、それはつまり、美の基準が

  一つではなく、他人(特に男性)の目を気にしなくて良い自由

  で多様な空間だ、という事なのではないかな。だから主人公の

  女性はとても魅力的に映る。化粧をしたい人はすればいいし、

  したくない人はしなくていい。そんな当たり前の事を教えて

  くれる素敵な映像。

  (書店には必ずあるマンガコーナー)








                                                            

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