「 さ っ ぽ ろ 暮 ら し 」 寺 尾 恵 仁
突如降って湧いたような話で、札幌の大学に就職が決まった。
2月の初旬に話をいただき、下旬にzoom面接、3月中旬に最終決定、
同時に新居を探し、それから十日あまりで引っ越しという急転直下
である。札幌という街は、りとむとも縁が深い。これまで「北二十
二条西七丁目」や「つきさっぷ」という語は目にしつつも、まさか
自分がその地に暮らすとは夢にも思わなかった。
引っ越しからしばらく、春から初夏にかけて街には種々の花が
咲き誇った。黄や紫のクロッカスが地面から顔を出したかと思うと、
色とりどりのチューリップが取って代わり、紫色のライラックが咲
き、真っ白なニセアカシアが甘い香りを漂わせ、いま7月半ばは
菩提樹が盛りである。
初夏の爽やかな風の中、札幌で名高いパン屋「どんぐり」で買っ
たパンを食べ、北海道限定コンビニ「セイコーマート」で買った
「サッポロクラシック」ビールを飲む。こりゃもうドイツに行く
必要がないではないか。
一つ心配ごとと言えば、今年はヒグマの被害が例年になく多い
こと。先日札幌市内の中心部にヒグマが出現して4人が負傷した
のも記憶に新しい。コロナ禍で里山の草刈りなどが滞っていること
が一因だとか。娘は「山には絶対行かない!」と固く決意している。
動物園で見るヒグマは可愛いけれども、あれはヤバい。マジで。
藻岩山より札幌市内を望む。
ちなみに藻岩山でもヒグマ目撃情報あり)
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