今 月 の 十 首 詠 第 16 回 (2024年1月) 有 岡 和 子 |
コオニタビラコ 有岡 和子 夕つ方おおつぶの雨降り出して 蛍は外出できずかたまる 葉がくれに灯るほたるのふたつみつ 脱出したし空のとおくに 庭のくさコオニタビラコとよく似てる 可愛らしくて抜かずそのまま 検索に花のかたちがちがうとう コオニタビラコも燈台草も 病院に夫を預けてかえりし夜(よ) 無くしたなにかをまたさがしてる 目の前にあるものよりもうまいかも 窪みに口を突っ込む金魚 小雀がチョンチョン飛び来て庭の隅 首を傾げているそぶりあり 岩の上に米粒すこし置いておく チョンチョン飛んで来るもののため パキラ?の木に白花が咲いている 問えばマンゴーと媼は笑みぬ 洗濯屋のマンゴーの木は鉢植で 真みどりの実が三つ下がれる 「歌評」今野寿美 大阪府富田林市では蛍が目に入る 環境なのかと、まず心が動いた。 うたい方にも親しさが感じられる。 小さなものに心を沿わせながら、 その日常の新たな欠落感を反芻。 十首といっても大切な起伏だ。(笑) |