今 月 の 十 首 詠 第 10 回 (2023年04月) 細 谷 毅 義 |
青 細谷 毅義 触れない空と宇宙は深い青、 インターナショナル・クライン・ブルー 金沢は雪に閉ざされ深として 「青」の美術館青を広げる 青、青、青空の果てには青がある どこまでも青、青い青青 昇り詰め光が消えて漂えばはるか 見返す青い地球を 唯青き小さな地球愛しさの 宇宙空間遠ざかる青 空間は夜間の闇の透明の 何も見えない時空をつくる 青よ 生きる歓び、微かなる 青き思い出、抱き旅する クラインは宇宙砂漠に青い星 青を集めてどこまでも行く 生きることは死ぬことでもあり 悲しみの青い石影「人体測定」 触れないイヴ・クラインの青い影、 ピカドンの痕(しみ)人影の石 「歌評」今野寿美 フランスの画家イヴ・クラインの作品に呼び覚 まされたか、思いは<青>の収斂してゆく。 地球上で生を営む一人として誠意を尽くす かのように。 憧れであり支えであり、刻印された悲劇の 痕にも思い及ばせる。 |