今 月 の 十 首 詠 第 17 回 (2024年2月) 井 本 昌 樹 |
欲望の時代の哲学2023(1) 井本 昌樹 ハローとぞ和室に入りたるガブリエル ガラス越しなる緑の庭撮る 「この上なき禅スタジオ」と笑まひつつ 畳上の椅子に腰下ろしたる 「空間を感じをり。庭美しき」とぞ 呟きて語りはじめつ 私たちは間違ひなくいま「入れ子構造の 危機(ネステッドクライシス)」なる時代にぞゐる 「多数(ポリ)の(ク)危機(ライシス)」と言ふ人も ゐるが単にあまたの危機あるならず ある危機が別なる危機の一部となり互に 影響与え合ふなり 忘れてはならないことは背景に気候の危機 といふがあること ドイツでは再生可能エネルギーへの 大胆な移行進める ロシアによるウクライナへの侵攻に 貧困国の食糧危機生る パンデミックの国境閉鎖nあらたなる 自国優先主義広ごれり 「歌 評」評」今野寿美 異常気象の過酷さに誰もが絶え、なおその 影響下にある。ポリクライシスは仏の社会学 者による造語とか。危機は押し寄せて他に 及び複雑に絡み合う。暑い!と嘆いて済む はずがないタイトルに気迫がこもる。(笑) |