てんきりん

<17>   『塩の行進』 春日いづみ


2018 年   2月


三 枝  昻 之



   四名の修道士いかに戦ひき

   
  聖堂を出て聖堂に戻りぬ   春日いづみ


  滞在の日々を詠った「トラピスト男子修道院」から。

   昭和の大戦に召集された四名と向き合う表現からは、

   戦争ともっとも遠い生き方を望みながら 理不尽な死を

   強いられた死者の無念が滲み、強いた者 への怒りが静か

   に広がる。春日は昨秋刊行新訳『聖書』の詩編日本語訳

   を担った敬虔な信者だが、掲出歌を含む『塩の行進』は

   ガンジーや映画監督ワイダの生き方を通して世界のあり

   方を問うハードな主 題にも特色がある。自身に向けた

   「したきことすべきことより大切ぞ私のうしろの

                      わたくしが言う」にも共感した。

      すべきこととしたいこと、さて私は如何に。



   

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