巻 頭 エ ッ セ イ

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2017年7


和 嶋 勝 利


  歌びとに連なれ!
                                           和 嶋 勝 利

  今野寿美著『歌ことば100』は、歌ことばのみならず短歌(和歌)

にかかる知識を深めるうえでも、とても示唆に富む一冊であった。
  
  例えば、本書の冒頭にある歌ことば「あうら」のなかの、「韻文

の世界では身体用語が忌避された」という一文を読んだだけで、も

う目から鱗が落ちる思いであった。他にも、「和歌にはもともと飲

食を避ける原則が徹底していた」、「身体語は食べ物以上にタブー

だった」、「身体用語を避ける傾向は近代でも強い」 という歌の

ルールに言及した解説が随所にあり、このようなルールに疎いぼく

にとっては、目から鱗どころか、まさに身のやせ細る思いであった

(これは、「やさし」の原義。)。
  
  また、本書の主眼である歌ことばについても、「出づ」の表記や

、「まにまに」にかかる誤解、さらに「おもほゆ」の已然形の問題

等、作歌に古語を使用するぼくが気を付けなければならないような

、危なっかしいところへの指摘が丁寧になされていて、たいへん参

考になった。
   
  自分の思いをきちんと述べたいと思ったら、文法だけでなく、こ

とばの用法にも注意するのは当たり前のことで、特に短詩型の叙述

においては、それは急所となろう。
  
  今野さんは、本書の「あとがき」で、「歌びとは、貴い財産であ

る歌ことばを一三〇〇年を超えて守りつづけ、その自覚のもと、こ

とばをねんごろに使う営為を重ねてきたといえるのだろう。一〇〇

語の歌ことばをめぐるなかで、その片端でも伝え残すことができた

ら、と願っている。」と述べている。
 
  ぼくたちも、歌びとが一三〇〇年守ってきた営為に連なっていか

ねばならない。それには歌い続けることだ。
 
  かねてより本書にある歌ことばを使って、題詠のようなことをや

りたいと思っている。
  
  発表の場や形式など、このHPをご覧のみなさんのなかで、何か

いいアイデアが浮かんだら、ぜひご教示いただきたい。


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