第5回
(2005年10月

三枝昂之

 十月二日に秋田の角館で短歌の仕事があったので、脚を伸ばし、白神山地のブナ林を楽しんできた。角館、秋田、白神山地と当方は短絡的に結びつけたが、実際は角館から白神山地はかなり離れている。今野と検討してゆくうちに、日程的にはどうも無理らしいと諦めかけた。ところが秋田に住んでいる国分良子さんがいいプランで助け船を出してくれて、実現したのである。
 羽田から大館能代空港に飛び、そこで国分さん夫妻が車で森里の岳岱のブナ林散策コースへ案内してくれるというプランである。ここには白神山地のブナ林を比較的手軽に楽しめる散策コースがある。ガイドも予約してくれて、用意万端。十月一日、東国は晴れていたが、飛行機が大館能代空港に着いたときには雨。それでも台風以外は散策はOKということで予定通り決行した。半分以上は危ぶみながら。ところが雨のブナ林は思いがけず魅力たっぷり。テレビ番組などがブナの特徴を説明するときに必ず登場する樹幹流が堪能できるし、白神のシンボルといわれる樹齢四百年の巨樹も雨の中では独特の風格。ガイドさんの説明も懇切で、国分さん夫妻を含めた一行七人、すっかり雨のブナ林のとりこになった。それから車を飛ばして角館へ。国分さん夫妻にはすっかりお世話になった。芽吹きの頃のブナ林に逢いたい、でみんな一致。そうそう、もちろん翌日の平福百穗顕彰短歌大会もちゃんと役割を果たしましたよ。こちらは本業ですからね。


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